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岡本 芳浩; 永井 崇之; 塩飽 秀啓; 狩野 茂; 姫野 晴行*; 小林 大志*; 中谷 三喜雄*
JAEA-Research 2018-013, 18 Pages, 2019/03
模擬廃液を利用したガラス固化体モックアップ試験のうち、高レベル模擬廃液供給20バッチ分の流下ガラス試料中の元素の化学状態および局所構造を、放射光XAFS分析によって調べた。セリウム元素の分析の結果、バッチが進むにつれて、緩やかに酸化が進む傾向が確認された。マンガン, 鉄, 亜鉛については、バッチ間の違いはほとんど認められず、ガラスの骨格構造に入り込んで安定化しているものとみられた。EXAFS解析の結果では、白金族元素を除き、明らかに結晶性と思われる元素は無かった。イメージング分析の結果、ジルコニウムやモリブデンでは、目立った析出はほとんど観察されなかった。白金族元素では、筋状の析出が認められたが、いずれも小さなものであった。
岡本 芳浩; 永井 崇之; 塩飽 秀啓
溶融塩および高温化学, 62(1), p.11 - 17, 2019/01
高レベル放射性廃液の廃棄物形態であるガラス固化体は、多くの種類の元素が含まれる多成分系物質である。放射光XAFSは、高い元素選択性を有することから、固化体中の元素の分析に適している。XAFS分析からは、化学状態や局所構造が明らかにされる。XAFS分析の拡張版であるイメージングXAFSは、ガラス中の元素分布に基づく分析だが、ガラスへの溶解度の低い白金族元素やモリブデンの分析に特に有効である。たとえば、ロジウムとルテニウムの2元素同時測定分析から、ロジウムの化学形がルテニウムとの分布相関に強く支配されていることを明らかにした。我々は、XAFS分析に広角散乱、PDF解析及び小角散乱を加えたマルチスケールの構造解析を行い、固化体の健全性まで評価可能な構造情報の取得を目指している。
岡本 芳浩; 永井 崇之; 塩飽 秀啓
放射光, 31(4), p.274 - 280, 2018/07
ガラス固化技術は、放射性廃棄物の処理法として有望であるが、多くの種類の元素をガラス原料内に安定に閉じ込めることが要求されており、それらを確認する必要がある。我々は、元素選択性を有する放射光XAFS分析を利用し、様々なガラス固化試料における各元素の挙動を明らかにしてきた。さらに、イメージングXAFSの活用、XAFSデータの積み重ねにより、ガラス固化技術の高度化へ貢献する活動へと展開している。ここでは、それらの中から、高温スラグ融体の高エネルギーXAFS、高温ガラス融体のイメージング観察、およびイメージングXAFSによるホウケイ酸ガラス中の白金族元素分析の成果を紹介する。
三ツ井 誠一郎
埋蔵文化財ニュース, (171), p.10 - 17, 2018/03
地層処分研究開発の一環として、地層処分で想定される現象に類似した天然現象(ナチュラルアナログ)を対象とする研究、「ナチュラルアナログ研究」が実施され、予測モデルの概念や評価手法の妥当性の検証に利用されている。原子力機構が実施してきた金属製遺物等を対象とした研究を含め、国内外でのナチュラルアナログ研究の成果を通じ、出土遺物から得られる知見を地層処分研究開発にどのように活用されているかを紹介する。
岡本 芳浩; 永井 崇之; 金子 耕士; 元川 竜平; 芳賀 芳範; 山中 恵介*; 太田 俊明*
2017年度成果公開型利用成果報告書(立命館大学SRセンター), p.33 - 36, 2018/00
使用済核燃料再処理プロセスから発生した高レベル放射性廃液は、ホウケイ酸ガラス原料と混合され、化学的に安定なガラス固化体に製造される。ガラス固化体に含まれる軽元素の局所構造を解明するため、原料ガラス及び模擬放射性廃棄物ガラスを対象にBのK吸収端XANES測定を行い、ガラス組成によるBの局所構造を評価した。原料ガラスのNa濃度が高いほど、B-Oの4配位sp構造(BO)の割合が増え、3配位sp構造(BO)の割合が減ることを明らかにした。
岡本 芳浩; 永井 崇之; 塩飽 秀啓; 猪瀬 毅彦*; 佐藤 誠一*
日本原子力学会和文論文誌, 16(4), p.180 - 190, 2017/12
模擬ガラス中のロジウムの化学状態を調べるために、X線吸収微細構造(XAFS)およびイメージングXAFS分析を実施した。ガラス中のロジウムの化学形は、EXAFSデータの線形結合解析の結果から、84%がRhO、残り16%がRh金属と見積もられた。イメージングXAFS分析によると、ルテニウムと共存しているロジウムの化学形は、RhOであった。これは、模擬ガラス中に、安定な(Ru,Rh)O固溶体が存在することを示唆している。一方、ルテニウムと分布が一致しないロジウムの化学形は金属であった。ガラス中の金属ロジウムは、凝集体になる傾向があった。これらの結果から、ロジウムの化学状態は、ルテニウム元素の存在とその分布に強く影響を受けると結論付けられた。
天本 一平
Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan, 24(391), p.393 - 401, 2017/11
ガラスは非晶質であるため、組成を変化させることが容易であり、さまざまな特性を制御できる。例えばソーダ石灰ガラスに酸化ホウ素を添加したホウケイ酸塩ガラスは、耐熱性や強度の面で優れており、幅広い用途がある。原子力の分野においても、放射性廃棄物を不動化して長期安定化を図るため、ホウケイ酸塩ガラスが放射性廃棄物の固化媒体として用いられている。高レベル放射性廃棄物を充填したガラスをガラス固化体と呼んでいる。本稿は、放射性廃棄物の分類や処理方法、製造したガラス固化体の特性やその後の処分方法について述べており、さらにホウケイ酸塩ガラス以外の固化媒体についても紹介している。
大江 俊昭*; 若杉 圭一郎
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 24(1), p.27 - 32, 2017/06
地層処分におけるガラス固化体の溶解寿命を再評価した。我が国での地層処分の技術的可能性を論じた報告では、時間と共に処分温度が低下することや表面積が減少することなどを無視しているため、ガラス固化体の溶解寿命は約7万年と過小評価されている。しかし、これらの変化は物理的に確実に起こるものであるので、これらを無視せずに再評価を試みた。表面積の変化を考慮するために亀裂を有するガラス固化体を3つのモデル、すなわち、単一平板、単一粒径の小球群、べき乗粒径分布を持つ小球群、で表現した。すべてのモデルの全体積は円柱状のガラス固化体と同じで、製造時の割れを考慮して全表面積は円柱状のそれの10倍とした。寿命評価の結果、初期量の50%が溶解するまでの時間は、3つのモデルとも10万年を超え、溶解寿命は26-70万年となった。これから、従来の評価ではガラス固化体が核種を保持する能力が過小評価されていることが判った。
岡本 芳浩; 塩飽 秀啓; 中田 正美; 駒嶺 哲*; 越智 英治*; 赤堀 光雄
Journal of Nuclear Materials, 471, p.110 - 115, 2016/02
被引用回数:6 パーセンタイル:49.29(Materials Science, Multidisciplinary)複数種類の温度と雰囲気の組み合わせ熱処理によって調製された模擬ガラス試料中の白金族元素の酸化還元状態を調べるために、放射光EXAFS分析を実施した。まず、EXAFS関数をRuOのような標準物質のスペクトルと比較し、カーブフィッティング解析から構造パラメーターを取得した。加えて、2種類の標準物質のデータの線形結合解析から、金属と酸化物の割合の導出を試み、熱処理温度の上昇に伴い、金属成分の割合が増加することを明らかにした。確認されたロジウムの化学形は、RhOではなくRhOであり、酸化物の形態ではルテニウムと同伴した挙動を示すことも明らかになった。
後藤 考裕*; 三ツ井 誠一郎; 高瀬 博康*; 黒澤 進*; 稲垣 学*; 柴田 雅博; 石黒 勝彦*
MRS Advances (Internet), 1(63-64), p.4239 - 4245, 2016/00
原子力発電環境整備機構と原子力機構は、概要調査段階における処分場の設計・性能評価に関連する主要な技術テーマを対象に2011年度から共同研究を進めている。我々は、この共同研究の一環として、鉄オーバーパックの腐食に伴うFeケイ酸塩の生成やオーバーパックの亀裂内の腐食生成物を通じたSiの移行など、様々なプロセスを考慮したガラス溶解モデルを開発している。モデル開発の目的は、ガラス溶解に関連するプロセスの相対的重要度の評価及び説得力のあるセーフティケースの作成に向けた更なる研究開発課題の特定である。感度解析では、1千年から1千万年を超える範囲のガラス固化体寿命が見積もられた。これはFeケイ酸塩の生成やガラス変質層内の物質移行特性など、主要なプロセスに関する現時点での理解に不確かさによるものである。
都築 達也*; 三田村 直樹*; 天本 一平
社会・環境報告書2014(インターネット), p.6 - 7, 2014/10
放射性廃棄物の安定化処理には、一般的にガラスが用いられている。放射性廃棄物を充填したガラス(ガラス固化体)の場合、仮にガラス固化体が割れても放射性物質が放出せず、安定的に閉じ込めることができる。固化処理に使用されるガラスの条件としては、(1)放射性廃棄物を多く充填できる、(2)化学的にまた熱的に安定である、(3)耐放射線性などが挙げられ、このような処理用ガラスとして、「ホウケイ酸塩ガラス」や「鉄リン酸塩ガラス」が提案されている。セントラル硝子では、多様な物質の充填に対応できる可能性のある鉄リン酸塩ガラスを媒体として使用する検討を日本原子力研究開発機構や愛媛大学と取り組んでいる。
稲垣 八穂広*; 三ツ井 誠一郎*; 牧野 仁史*; 石黒 勝彦*; 亀井 玄人*; 河村 和廣*; 前田 敏克; 上野 健一*; 馬場 恒孝*; 油井 三和*
原子力バックエンド研究, 10(1-2), p.69 - 84, 2004/03
地層処分における高レベルガラス固化体の性能評価の現状について総説した。ガラス固化体の水への溶解及び核種浸出に関する現象理解は過去20-30年で大きく進展し、現時点で保守的な性能評価は可能であると考えられる。しかしながら、評価の信頼性向上の観点からは、長期の処分期間におけるガラス溶解反応メカニズムや各国で異なる実際の処分環境の影響についての基礎科学的理解をさらに深めるとともに、それらの成果を十分に反映した性能評価モデルの構築が望まれる。これら基礎研究の進展は処分システム全体の性能評価の信頼性向上、さらには処分システムの合理性や経済性の向上にも寄与できるものと期待される。我が国におけるガラス固化体の性能評価研究は、米国,フランス等における多角的な研究と比較して十分なものとは言えず、さらなる拡充が望まれる。
増田 純男; 梅木 博之; 清水 和彦; 宮原 要; 内藤 守正; 瀬尾 俊弘; 藤田 朝雄
JNC TN1410 2000-008, 100 Pages, 2000/10
核燃料サイクル開発機構(以下、サイクル機構)が平成11年11月26日に原子力委員会に提出した「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発の第2次取りまとめ-」(以下、第2次取りまとめ)に対し、『高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性』批判(2000年7月20日)」と題するレポート(以下、批判レポート)が地層処分問題研究グループ(高木学校+原子力資料情報室)から公表した。批判レポートの記述内容には独断的な部分や誤解に基づくものも多々あることから、第2次取りまとめに関連した技術的な部分に対して、サイクル機構の見解を本報告書として取りまとめた。見解をまとめるにあたっては、批判レポートの第1章から第7章にわたって展開されている内容を対象とし、またそれらの関連性などを考慮して、本報告書を4つの章により構成することとした。第1章では「地質環境の長期安定性について」、第2章では「工学技術と深部坑道の安定性について」、第3章では「人工バリアの特性について」、第4章では「地下水シナリオに基づく安全評価について」として、それぞれ見解を述べた。本報告書に示した見解は、第2次取りまとめを構成する4つの報告書の記載内容に基づくものであり、関連箇所を引用する際には、それぞれ「総論レポート」、「分冊1」、「分冊2」、「分冊3」と略記した。
熊田 俊明*
JNC TJ8400 2000-017, 74 Pages, 2000/02
本報告は、本研究シリーズの第2年度(1997年度)に提案した点熱源熱物性値測定法の精度向上と、ベントナイトと珪砂の混合材(分散物質)の熱伝導率の測定を行い、水分含有ベントナイトおよび珪砂混合緩衝材の熱物性値の推算法を確立することを目的とする。緩衝材の熱物性値は、荷重によって決まる密度、水分含有率、珪砂の混合率などによって異なる。緩衝材は使用期間に、種々の温度や荷重および水分含有率の環境に置かれると考えられ、このような緩衝材の熱物性値を知ることが必要である。ベントナイトと珪砂の混合材を分散物質として、既存の分散物質の熱伝導率推算法と既存および本研究における測定値を比較することにより、より精度良い推算式を特定した。既存の熱伝導率推算式では、Frickeの回転楕円体をランダムに分散した場合の推算式と熊田の考案した任意の形状の分散体を回転楕円体に換算する方法を用いれば、精度よく混合材の熱伝導率を推算できる。また、球状分散体に適用する推算式であるBruggemanの式によっても実用上十分な精度で珪砂混合緩衝材の熱伝導率を推算できる。
本間 信之*; 千葉 恭彦*; 棚井 憲治
JNC TN8400 99-048, 85 Pages, 1999/11
本報は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における、人工バリアを構成する要素の一つであるオーバーパックについて、構造強度層に炭素鋼を、耐食層にチタンを用いたチタン-炭素鋼複合オーバーパックの、現有技術での製作可能性を確認するために、その設計および実規模大での試作を行った結果を報告するものである。設計に当たっては、一般の原子力施設に適用される基準により必要な耐圧厚さを計算した。また有限要素法による解析を実施して、結果の妥当性を確認した。また、オーバーパック内部に収納するガラス固化体から発せられる放射線の遮へいについて計算し、オーバーパック遮へい機能の必要性を検討した。結果、オーバーパックには輸送基準を満足するために必要な遮へい機能は与えず、別途搬送用機器等で遮へいする方式が合理的であることを示した。以上の検討をもとに実規模大での複合オーバーパックの試作を行った。耐食層の材質については、超長期の耐腐食性が期待できるチタン材のうちASTMGrade-2材を選択した。チタン耐食層の施工は、オーバーパック円筒部と平面部に分けて実施した。円筒部については内層である炭素鋼容器に円筒形に成形したチタンの外層を焼きばめ挿入する方式を採用した。また蓋部、底部などの平面部については、チタン板材の爆発圧着法による被覆方法を採用した。本体と蓋の封入溶接については、電子ビーム溶接とMAG溶接とを組み合わせて実施した。いずれの工程においても不具合等は確認されず、チタン-炭素鋼複合オーバーパックの現有技術での製作可能性が確認できた。最後に今回の試作結果をふまえ今後検討されるべき課題をまとめた。
馬場 恒孝; 萩谷 弘通*; 田村 行人; 妹尾 宗明*; 米澤 仲四郎; Carter, P.*
Analytical Sciences, 14, p.389 - 394, 1998/04
被引用回数:11 パーセンタイル:38.79(Chemistry, Analytical)セラフィールドのウィンズケールガラス固化プラントで作製された、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の化学組成を誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)による定量分析によって決定した。化学分析は日本原子力研究所のホットセル及びグローブボックス内で実施した。ガラス固化体試料は、SiとBの定量のための過酸化ナトリウム融解法及びLi,Na,Mg,Al,P,Cr,Fe,Ni,Sr,Zr,Mo,La,Ce,Nd及びUの定量のためのフッ化水素酸一過塩素酸を用いた酸分解法によって、それぞれ溶液に調製された。並行して実施したガラス標準試料(NIST SRM-1412)及び非放射性模擬ガラス固化体の分析データによって、本分析法の信頼性を示すことができた。高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の分析結果は、ガラス固化に用いた高レベル放射性廃液及びガラスフリットの分析データをもとに英国核燃料会社(BNFL)が推算した値と良く一致した。
相内 更子; 安 隆己; 菅沼 隆; 田中 康正
PNC TN8410 97-107, 53 Pages, 1997/05
再処理の溶解工程にて発生する不溶解性残渣物及び高レベル放射性廃液を安定化するガラス固化体等、固体試料中に含まれる元素を分析するには試料の溶液化が不可欠である。今回、密閉容器を用いるマイクロ波加熱酸溶解法(以下、マイクロ波加熱法と記す)の再処理関連分析への応用検討を目的として、模擬ガラス固化体の前処理及び分析を行い、従来の酸溶解分析との比較・検討を実施した。得られた結果は以下の通りである。(1)マイクロ波加熱法において模擬ガラス固化体試料の完全溶解に要する最短時間は7分であり、従来法の2時間と比較して約1/20の時間短縮が可能となった。(2)マイクロ波加熱法で溶解に要する最少の混酸量は、従来法の約1/2に低減できた。(3)塩酸で処理すると揮発性物質となるCr2O3は表示値通りの分析値が得られ、密閉容器による揮発抑制効果が確認できた。(4)従来法とマイクロ波加熱法での分析値の再現性を比較したところ、後者の変動係数の方が1.21.7倍優れていた。(5)白金族を含む模擬ガラス固化体試料は、RuO2及びZrO2を除き、決定した混酸量・溶解時間で高い溶解率が得られた。(6)白金族を含む模擬ガラス固化体試料のZrO2は、溶解時間と添加する混酸量を増やすことにより、完全に溶解できた。一方、RuO2の最大溶解率は12%程度と低値を示した。
not registered
PNC TJ8409 98-003, 62 Pages, 1997/03
高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体は、30年から50年間程度、冷却のための貯蔵後、深地層に処分される計画になっている。ガラス固化体は一本当たりの放射能量と発熱量が高い(1. 51016Bq、1.4kW)のため、貯蔵期間中のこの特性を活かした利用法を検討することは、資源の有効利用の観点から重要と考えられる。一方、近年、有害廃棄物の無害化処理の必要性が高まっている。例えば、フロン(クロロフルオロカーボン-CFC)は冷房の熱媒体などに広く利用されてきたが、オゾン層破壊の原因物質であることが指摘されており、環境破壊を招かない物質へ転換した上で、廃棄することが望まれている。この他にも、このような環境へ影響を与える有害廃棄物は多々存在すると考えられ、技術的に有効な処理法が求められている現状にある。本調査では、ガラス固化体の放射線照射による有害廃棄物の無害化処理の観点から、放射線分解処理が可能な有害物質の調査、及びその第一候補となるフロンについての技術的あるいは社会情勢的な背景情報について調査を行った。また、ガラス固化体放射線照射によるフロン分解の可能性を探るため、東京都立産業技術研究所(旧名:東京都立アイソトープ総合研究所)の協力の下、予備的な試験を実施し、線源として高レベル放射性廃液のガラス固化体を使用することも可能であるとの見通しを得た。
中村 正信; 三ツ井 誠一郎; 稲葉 秀雄
PNC TN1450 97-001, 37 Pages, 1997/02
動燃事業団が主催して、平成8年12月3日に「第2次取りまとめに向けた地層処分研究開発への取り組み」と題して行われた地層処分研究開発報告会(第4回)において、パネル及び機器の展示が並行して実施された。本冊子の目的は、これら展示されたパネル等を縮刷版として取りまとめ記録し、地層処分研究開発の現状について整理することである。このパネル展示では、動燃事業団から16点、民間企業から9点、大学及び研究機関から5点、合計30点が出展された。その展示内容は、民間企業は動燃事業団の委託研究の成果を、大学及び研究機関は動燃事業団との共同研究の成果をまとめたものである。動燃事業団は、東海事業所が中心となって行っている地層処分研究開発の成果のみならず、東濃地科学センターを中心に実施されている地層科学研究の成果を併せて展示した。本パネル及び機器展示を通して、動燃事業団を中核として、広く我が国の民間企業、大学及び研究機関が連携を取りつつ進められている地層処分研究開発の成果が示され、同時に、今後の研究課題についても明らかにされた。
ホット試験室
JAERI-Review 97-001, 118 Pages, 1997/02
本報告書は、平成7年度のホット試験室における燃料試験施設、WASTEF及びホットラボの3施設の運転管理と、それぞれの施設で進めた技術開発についてまとめたものである。燃料試験施設では、関電・高浜3号機のPWR燃料、東電・福島第2発電所のBWR燃料及び動燃・ふげん照射用燃料等の照射後試験を行うとともに、所内利用に応えてNSRR及びJMTRに供する照射済長尺燃料棒の短尺加工、高燃焼度燃料の熱拡散率測定等の照射後試験を行った。ホットラボでは、研究炉用燃料・材料、NSRRパルス照射燃料等の照射後試験を実施するとともに、原電・東海発電所の燃料モニタリングを継続して行った。WASTEFでは、環境安全研究部からの依頼に応えてガラス固化体及びシンロック固化体等の試験を行った。